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 「全国からNPPVでつながる愉快な仲間達」冊子が完成しました。
 
 新難病法が、今回成立いたしましたが、なかなかその中身が判らない、不安だけが大きくなっていました。
ならばまず自分たちのNPPVでの生活と、体験談を纏めて声を届けたいと云う事で、4月のはじめに、頑張って日本筋ジストロフィー協会の全国総会の時に紹介したいと云う事で「全国からNPPVでつながる仲間達」プロジェクトがスタートしました。

NPPV(非侵襲的陽圧人工呼吸器)を合い言葉に全国から、情報交換の為にネットワークをつくっています。
その中の有志13名が手を上げてくれて、10日間ぐらいで原稿が集まりました。
素晴らしい原稿ばかりだったので日頃お世話になっている先生にもお願いしようと云う事になり、国立精神・神経医療研センター病院埜中先生、徳島文理大学多羅先生、国立病院機構八雲病院石川先生と大竹整形外科の大竹先生に特別寄稿と云う事でお願いしました。大型連休と海外出張等の忙しい中を快く引き受けて頂きこの様な冊子になりました。

※NPPV:非侵襲的陽圧人工呼吸器
(Non-invasive Positive Pressure Ventilation)

またこのネットワークが素晴らしいと思ったのはブラジルからSilvia Junko NakazuneさんがNPPV仲間としてJICA(国際協力機構)から、日本でのNPPV技術習得の為に体験もお伝え出来た事です。Silviaさんはポルトガル語が母国語で英語での原稿でしたので、NPPV仲間が翻訳を”麻菜さん“と云う知り合いを紹介してくれ、1晩で素晴らしい翻訳しくれて原稿になりました。
麻菜さんは【1才のとき脊髄性筋萎縮症(SMA)と診断されて、高校まで普通学校に通い、大学で英語を専攻し翻訳家を目指しているそうで、中学からNPPVを使用しています。】
表紙の絵は“タムタム”で【電動イーゼルを使い17年間で12枚の油絵をNPPVしながら画いて、東光会主催の第8回全国小品部門コンクール入選しています。】
 

国立精神・神経医療研究センター病院  埜中征哉先生    筋疾患とNPPV

 筋ジストロフィー病棟の魔の個室

私が熊本大学医学部を卒業し、最初に就職したのが現在の国立病院機構西別府病院でした。それは今から50年以上も昔。昭和40年(1965)のことです。指導医は現在名誉院長をしておられる三吉野産治先生でした。三吉野先生は筋ジストロフィーのことなら、何でもご存知で、わたしにいろいろと教えてくださいました。筋ジストロフィー病棟は2病棟有り、80人のお子さんが入院していました。その時代の入院患者さんは小学校や中学校生が大半でみなさん元気に養護学校に通っていました。入院の目的の一つに教育をうけることがあったからです。

80床もあるのに個室はただ一つ。そこに重症になったお子さんが入り、時には死を迎えて、個室を出ることもありました。子供たちはその個室に入ることを、牢屋に入るように恐れていました。ある日、高学年のお子さんが肺炎になり、個室に移されました。酸素を与え抗生物質を投与しました。私たちは患者さんの胸を繰り返し押して呼吸を助けてあげる努力をしました。医師だけでなく、看護師さん、ご両親、みんなが交代で胸押しをしました。でも、くるしい、くるしいと訴えられ、見るのがとてもつらかったです。そのうちに意識がなくなり、顔に白い布を被され、個室を出て行かれました。明るくて、人気者でした。子供たちはどんな気持ちで、友人を見送ったのでしょうか。残飯がいつもの倍だったと看護師さんから聞きました。その頃も人工呼吸器はありましたが、手術とか緊急の場合にしか使えませんでした。 
 
 国立病院機構八雲病院 石川悠加先生      NPPVの先進国あれこれ
 日本には、神経筋疾患のNPPVの先駆者であるニュージャージー医科歯科大学ジョン・R・バック教授が、1994年以来、何度か講演をしてくださっています。ブラジルなど新興国も、気管切開人工呼吸はさまざまな理由で取り入れていなくても、NPPVは公的保険でカバーされています。欧米や新興国と共に、NPPVを取り入れた快適な生活を進めましょう。

 徳島文理大学  多田羅勝義教授      ~人工呼吸器とともに外に出る~
 在宅人工呼吸療法とは単に病院の代わりに自宅で療養するということでしょうか。そんなバカな、外出するのが受診の時だけなんて考えられないですよね。病院を受診することができるのであれば、なぜ外出してはいけないのでしょうか。なぜ旅行に行ってはいけないのでしょうか。たとえ起き上がることができなくて臥位のままでも移動する、つまり周りの風景が変わるということは非常にだいじなことなのです。ましてや自分で電動車いすを操縦できるのであれば人工呼吸が行動を制限するといったことはあってはならないことです。
 では、人工呼吸器とともに外に出ることを考えてみましょう。

 大竹整形外科 大竹進先生         異議あり! 鼻マスク人工呼吸は「非該当」
 ●異議あり!
 鼻マスクによる人工呼吸を日本に初めて導入した医師として、上記の答弁に異議を唱えたいと思います。気管切開か鼻マスクかで呼吸障害の重症度や日常生活の制限を判断することは、医学的には間違いです。
 神経筋疾患によって呼吸が困難になったときに人工呼吸が必要になります。気管に穴をあけて気管切開チューブから人工呼吸を行う方法、鼻マスクや鼻と口を覆うマスク(フェースマスク)で人工呼吸を行う方法などがあります。この違いは、目が不自由な時に眼鏡を使うか、コンタクトレンズを使うかの違いと同じもので、大きな違いはありません。
 気管切開とマスクのどちらを選択するかは、病気の種類、意識障害の有無、理解力、肺や気管の状態などによって決まります。

最後に私達の願いとして(人工呼吸器使用者の患者負担に関する要望書)が付いていますが、神戸からメンバーの一人が「変えたい」気持ちを形にみんなで社会を動かす仕組みという電子署名サイトを設定し「息をするだけでお金を取らないでください」~人工呼吸器使用者の患者負担に関する要望~現在2148名の賛同署名が寄せられています。
この署名活動から『人工呼吸器使用者の患者負担ゼロを求める国会内集会』が企画され、厚生労働委員の国会議員等40名程参加がありTBS、NHK、他各紙が取材に来てネットワークが広がりました。「鼻マスクと気管切開で人工呼吸器ユーザーを区別しないで」、「鼻マスクの患者も人工呼吸器で延命している、呼吸器か無いとすぐ死んでしまう」、
「筋・神経疾患の呼吸器ユーザーは少ない障害年金だけで生活している人が多いので、息を吸うことでお金を取られたら、生きていけなくなる」と訴えました。
筋ジス協会の総会の時に来賓の先生にお配りも出来ました。来賓でお見えの小池晃議員が気に留めて頂き、20日の最後の参議院厚生労働委員会資料として配付したいとのお話がありましたので喜んで提供させて頂きました。
国立精神・神経医療研究センターRemudyの木村先生からも、第55回日本神経学会学術大会の5月21日の講演の中で、神経内科の先生方に紹介したいと云う事で連絡を頂きました。
20日の最後の新難病法の採決時の資料として冊子を掲げながら、私達の願いを強く、田村厚生大臣に質問をして頂けました。小池晃議員の質問の時に、傍聴席の私を紹介して頂いたのですが、隣席の福島みずほ議員が一度しかお会いした事がないのに、帰り際に傍聴席出口までいらって頂き「フォローアップしていかなければならないと」挨拶頂いた事は、また喜びでした。
難病指定が出来て40年が過ぎますが、NPPV含め筋ジストロフィー患者のQOL向上が経済成長の裏で20年余の間
停滞してしまった結果があるかも知れません。小池晃議員の指摘の通り、厚生労働省は新難病法により難病患者がNPPVによりQOLを高める事が出来るならば大きく舵を切るべきとの方向に間違いはないと思います。
これは、いままで一般的に広く、難病政策定の自民党及び厚生労働省の首脳に対しても、NPPV環境普及についての
認知情報が不足していたことでもあるかと思います。今回の「全国からNPPVでつながる仲間達」プロジェクトが、今までのおかれた状況を、国会議員の先生方と厚生労働省に難病患者の気持ちとが、大きな輪になりながら超党派で、今後議論しながら考えて頂ける様に改めてお願いいたします。

 目次を紹介します。      
 はじめに       P-1
 筋疾患とNPPV  寄稿 埜中 征哉  P-2
 NPPVとは   冊子プロジェクト  P-4
 NPPVの先進国あれこれ  寄稿  石川 悠加  P-5
 アジア・オセアニア筋学会に参加して      P-7
 僕は二十歳のデュシェンヌ型筋ジストロフィーだ    体験談・1  P-9
 NPPVと共に過ごすこと」    体験談・2  P-11
 NPPVでの生活    体験談・3 P-13 
 “井出 今日我”のNPPV生活    体験談・4  P-15
 NPPV 我が友よ!    体験談・5  P-18
 気がつけばNPPV利用者の“フロントランナー”に    体験談・6  P-20
 NPPVで今を生きる!!    体験談・7  P-22
 「NPPVで自分らしい生き方を」    体験談・8  P-24
 NPPVと劇的運命の出会い!    体験談・9  P-26
 NPPVのおかげで     体験談・10  P-28
 NPPVと私    体験談・11  P-30
 “あいこ”とNPPV     体験談・12  P-32
 僕は油絵の楽しさを伝える活動をしています     体験談・13  P-33
 NPPV技術をブラジルへ     体験談・14  P-35
 異議あり!鼻マスク人工呼吸は「非該当」  寄稿  大竹 進   P-38
 人工呼吸器とともに外に出る   寄稿  多田羅勝義  P-40
 新難病法への願い  要望書  冊子プロジェクト   P-47
 あとがき      
       
       
       
冊子の追加の注文等は
〒980-8253          
福島市泉字曲松21番地の2
     (エムハウス1F)
          NPPVネットワーク支援機構
  E_メール info@nppv.sakura.ne.jp
FAX 024-558-7612
※一冊 定価 500円で送料別になります。
 5部以上の場合は送料を負担いたします。
 
冊子を読む事が不便な方の為にweb版が用意されていますので配布出来ますので申しつけて下さい。



日本での鼻マスクによる人工呼吸器の導入歴史は
「REMUDY」通信に大竹先生1988年大竹先生が「鼻マスクによる人工呼吸」に初めて取り組んだ頃としての報告が掲載されています。
2013年05月 8号です。

「人工呼吸器使用者の患者負担ゼロを求める国会解集会」録画配信をご覧になれます。

2014/05/18 15:00


国会院内集会のPDF資料はこちらから


「人工呼吸器使用者の患者負担に関する要望書」のWeb署名が神戸のネットワークメンバーによりを作成されています。
神経筋疾患で呼吸が困難な人にとって人工呼吸器はいのちの綱です。
今後、少しずつ人工呼吸器の負担限度額が増えていきそうで不安です。
署名、拡散していただける様にお願い致します。


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
NPPV支援ネットワーク機構|在宅人工呼吸検討委員会|E-mail:info@nppv.org
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