■現在地>トップページ>活動報告>
 非侵襲換気ユーザーネットです。ジェフ・グレイさんというデュシェンヌ型の患者さん47歳がマネジメントしてるホームページです。
 
 Jeff GrayさんのHPです。
翻訳はSo-netのWebクリックして体験談等をご覧ください。
石川先生が初めてジェフさんの家にBach教授と共にお邪魔した時は1994年で、彼は既に昼間のNPPVをしていたそうです。
 ジェフさんは、ニューヨークの中国系の女性のドクター(ご主人はドイツ系)から、バック教授を紹介され、その前に診てもらったニューヨークの男性の医師は、「DMDは何もできない。死ぬの待つだけ」のようなことを言ったそうです。

中国系の女性のドクターがバック教授を紹介してくれなかったら、今はないと言っていました。そして、バック教授と、いろいろ話をしながら、ここまでやってきたと。今も年に1回はバック教授の外来に行くそうです。(バック先生の紹介の見学者とバック教授も一緒に頻繁にジェフ君を訪れるにもかかわらず)
 ホームページに紹介されている、彼女というのは、バック先生の上司のアルバ先生か、バック教授と一緒に仕事している医師かRT(呼吸療法士)です。
 バック教授が9月に「ゼンメルワイスになりつつある」は、なかなか重みがあります。だからこそ、がんばらなくちゃ、なのです。
Jeffさんは、離婚して働いているお母さんと、週35時間の介護者でやっています。
ジェフさんのお宅に9月に訪問した際に、石川先生の書いた非侵襲的人工呼吸ケアマニュアルー神経筋疾患のためのの英文の本がありました。以前にお渡ししてあったのを、石川先生が訪問したので、出してくれたみたいです。石川先生の本の英文版を持っていてくれました(2004年に贈呈したものです)。
前モデルのカフアシストの様です。
   
ズボンは、後ろが開いていて、脱ぎ着が簡単だそうです。お母さんが見せてくれました。   MDAの風邪に気をつけましょうのポスターが、バック先生の診察室にありました。
 
 ■NPPVの長期人工呼吸、日本の場合、という章で英文の本が、出ています
石河先生が執筆していた英文の本が、出ていました。

2008年に出版され、アマゾンでNPPVと引くと、18番目くらいに出てきます。
(アマゾンの本の目次の閲覧でも確認できます)
NPPVの長期人工呼吸、日本の場合、という章です。共同執筆者は、多田羅先生と石原英樹先生(大阪府立呼吸器アレルギー病センター呼吸器科)です。
ちなみに、NPPVのすべては9番目です。

Ventilatory Support for Chronic Respiratory Failure (Lung Biology in Health
and Disease) (ハードカバー)

Nicolino, M.D. Ambrosino (編集), Roger S. Goldstein (編集) 
 
■神経系筋疾患の人工呼吸器の選択の仕方
世界的観点からみたNPPVの裏事情
 石川先生が9月にアメリカを訪問した際にバック教授もらした感想は、NPPV療法が「ゼンメルワイスになりつつある」だったそうです。
ゼンメルワイス(1818-1865)は、ハンガリーのブダペストに生まれました。
まだ、病原菌(いわゆるバイ菌)の存在も知られていなかった(もちろん抗生物質も発見されていなかった)頃に、病院で産褥熱で高率に亡くなっていく若いお母さんとご家族を目の当たりにしていました。 
そして、それを防ぐために、1840年代にウィーン大学(当時は世界有数の大学)で手を洗うことを推奨しました。しかし、そこには、医学の権威の壁が立ちはだかり、彼はウィーンを追放され、学会からも相手にされなくなりました。 
その後、郷里のブタペストで聖ロック病院産科主任、ペシュト大学産科教授を務めました。スイスのチューリッヒ大学教授のポストの申し出は断わりました。
1960年「産褥熱の原因と概念およびその予防法」という本を書いたりもしましたが、反応は熱烈な理解者もいましたが、大勢を変えることはできませんでした。 
 ただ、中には、ヨーロッパの大学の産科教授の中で、自殺した人もいました。
「知らなかったこととはいえ、自分の診察により、患者さんに産褥熱
※※※

※※※

14年も経ってから、1979年にコッホが「創傷感染症の原因について」の論文が発表されました。ゼンメルワイスが存在を立証した病原物質の正体が“化膿性病原菌”であることが明らかになりました。
それから、その病原菌の伝播予防に、最も簡単で効果的なことが手洗いであることが、検証され、さらにその普及には、数十年もかかったのです。 
ブダペストにゼンメルワイスとそれを見上げる母と子の彫像があります。しかし、今日でもなお、ゼンメルワイスを攻撃的な暴言者のように誤認するものが少なくないそうです。これこそ、彼の敵たちの詭弁に惑わされたものです。恐るべき数の人命が偽性にされつつある中で、この悲惨を救いえる手段を訴えるゼンメルワイスに対して、何の根拠も示さず、悪罵、嘲笑、これを抹殺しようとする人類の敵とも言うべき者達の暴言に反撃することは、当然というより、医師としての義務です。ゼンメルワイスはその著書や論文や言動において、彼の実証した予防法を妨害して止まぬ錚々たるいわゆる大家たち、数十名の学者達に対して痛烈な反撃を加えています。
 
 なかでも、時の医界の最高権威とされるウィルヒョウ氏の産褥熱に対する学説(患者自身の中に起因する)をはじめ、これらの人々の各説を徹底的に論破しています。何人にも遠慮することなく根拠ある反論を展開したのです。
作者南氏は、「科学的な根拠の全く無い、病人不在の論議をまことしやかに繰り返し、自己の利益や権威・面目を守ろうとする、頑迷な医界の指導者達の盲目の祭壇に供えられる数知れぬ婦人達の不幸を思い、義憤の念を押さえかねた彼の心情が、ゼンメルワイスの著書の行間ににじみ出ているように感じられます」と書いています。「高潮する彼の筆は、不幸な人々を救うためにこの予防法はなんとしても普及しなければならないという熱い願いを込めてつづられています」。
ゼンメルワイスは、「私の文章の強い調子は意識的にあえてしたものですが、それは私の学説に対して加えられる根拠無き攻撃に対して私の実証的事実をもって反駁しなければならないからです」とも述べています。ゼンメルワイスの述べるところはすべて、人間としての良心と社会に対する義務と正義を守らねばならないという、彼の人道主義精神の流露であり、また、自らの学説に対する確信の表れでもあります。
 
 バック教授はゼンメルワイス、日本でも、NPPVやカフアシスト、呼吸リハビリテーションに対して、されていないだろうか。筋ジス療養・神経筋疾患全般に関しても、そんなことがないだろうか。私たちが目をしっかり開いて、良い方法とその普及者が闇に埋もれない様にしなくてはいけない。

参考文献

1.南和嘉男:医師ゼンメルワイスの悲劇-今日の医療改革への提言-講談社、東京、1988(ちなみに本書は1998年に出版されたものであるが,インターネットを通じて購入可能である。興味をお持ちの方は是非お読み下さい。※この本はもう絶版です)
 
 
『医師ゼンメルワイスの悲劇-今日の医療改革への提言-』(南和嘉男,講談社)
 
 
 
 
 
 
 



NPPV支援ネットワーク機構|在宅人工呼吸検討委員会|E-mail:info@nppv.org
本サイトに掲載されている全ての情報の無断転載・無断利用はご遠慮ください。