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 NPPVってなぁに?から5つの誤解いと、筋ジストロフィーの人工呼吸の背景
 徳島病院小児科 多田羅勝義
人工呼吸中の人を離床させることを、筋ジストロフィー医療スタンダードとして 

私が徳島病院に赴任したのは1993年、そのときぜひ実現したいと思ったことがふたつありました。
それは人工呼吸中の患者さんを離床させることと在宅人工呼吸を始めることでした。

これは1995年に実現、以後電動車いすに人工呼吸器を搭載するということが徳島病院小児科の筋ジストロフィー医療スタンダードとなっています。 
  
   
在宅人工呼吸はなかなか実現しない。 
一方、在宅人工呼吸はなかなか実現しませんでした。ご存知と思いますが、在宅人工呼吸は1990年から保健医療となりました。その仕組みを簡単に復習してみましょう。まず、病院は人工呼吸器取り扱い業者とレンタル契約を結びます。器械だけのレンタルか回路も含めるか、また鼻マスクであれば年に1個支給とか細々した内容をはっきりさせ、それでレンタル料が決まります。これを病院は毎月業者へ支払います。病院は患者さんに毎月病院を受診してもらうことで、保健請求します。だから「今月はちょっと受診できません」なんてことになるとたいへんなのです。 
NPPVとTPPVの選択は? 
 つい1カ月ほど前、徳島病院管理の患者さんが心肺停止で地元の病院へ緊急入院しました。すぐに挿管、幸い救命されました。一度は抜管できたのですが、入院中にまた緊急挿管となりました。その病院の先生は私がよく知っている先生だったので、その後気管切開の相談がありました。私は、ちょっと待って欲しい、また徳島病院への転院は可能かといったことを話しました。しかしその後お母さんから「あのときのような恐怖にはとても耐えられない」という内容の電話をいただきました。結局彼は気管切開をしてもらいました。
NPPVは、始めるにはコツが必要で,、適切に維持するにはコツと努力が欠かせない。 
 NPPVは、始めるときにちょっとしたコツが必要です。さらに、NPPVを適切に維持するにはコツと努力が欠かせません。その努力を地元の病院に求めることに私は大いに後ろめたさを感じています。徳島病院は一般小児を診ていません。そのおかげで筋ジストロフィー医療に専念できるのです。もちろん地元の病院ではそんな訳にいきません。一般病院小児科(他科も同じ)の厳しさは今更言うまでもありません。
 私がメーリングリストで苦言を呈した患者さんの場合も、実はきわどいところを地元の病院で救命してもらったのです。徳島に来たのは落ち着いてからです。一番たいへんな時期を地元病院ががんばってくれたのです。
医療関係者へ筋ジストロフィーに対するNPPVの情報提供をすること。 

このような状況で私ができることは何か?ずっと考えてきたのですが、まずは、特に医療関係者へ筋ジストロフィーに対するNPPVの情報提供をすることではないかと思っています。ここで間違えてもらっては困るのは、あくまで筋ジストロフィーに対するNPPVという点です。筋ジストロフィー協会の会報に載せてもらった資料(このネットワークでも閲覧可能)でも書きましたが、呼吸器疾患のNPPVとはまったく別物なのです。

多くの医療関係者もこの点を混同しているように思います。患者さん・家族の方もまたしかり、したがって機会があれば今後とも情報提供を続けるつもりです。 

在宅人工呼吸療法の制度上の問題 
 在宅人工呼吸療法の制度上の問題については、もちろんいろいろあります。これに対しては地道に訴えていくしかないでしょう。もちろんより実りの得られそうな方法でやるべきです。私がいつも感心するのは日本ALS協会の活動です。参考にしてはいかがでしょうか。
筋ジストロフィー病棟(現在このような病棟は少なくとも法律上存在ない)の問題 
 この医療形態、すでに始まってから40年近くたっているわけですから、いろいろなほころびが目立ってきました。問題の本質がどこにあるのかよく見極めて解決を目指さなければなりません。

ただ闇雲に騒ぐだけでは実りは得られないでしょう。この問題については今ここで述べるだけの時間的余裕および体力が私にはありません。いずれ改めてということにしてください。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 



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