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 31回日本呼吸療法医学会学術集会2009(山形天童市)
 
山形県天童市において7月10日(金)・11日(土)に開催された第31回日本呼吸療法医学会学術総会2009で『神経筋疾患における気管内挿管や気管切開からNPPVと咳介助への移行』を報告してきました。
  会場には多くの麻酔科医師や救命救急医師、ICU(集中治療室)看護師、臨床工学技師が参加しており、熱心に聞いてくださり、多くの参加者にこれらは他の神経筋疾患にも応用可能と説明して「麻酔や鎮静におけるデュシェンヌ型筋ジストロフィーの呼吸ケアのコンセンサスステートメント(アメリカ胸部医師学会;ACCP、2007)」と「ポストポリオ症候群としての呼吸障害(呼吸と循環51巻11号;医学書院、2003)」を配布してきました。
 疾患進行によって今後、気管切開は必要にならないのでしょうか?と質問があり、「今回の報告した疾患では、将来的にも必要なしという海外の論文がでています」と石川先生から答えています。

  
 
経筋疾患における気管内挿管や気管切開からNPPVと咳介助への移行

国立病院機構 八雲病院 看護課  竹内伸太郎
            小児科  石川 悠加
           理学療法室 三浦利彦

【目的】近年、ニューヨークのポストポリオ症候群において風邪や疲労をきっかけに急性呼吸不全増悪をきたして、ICUで気管内挿管困難になる例が多発し、NPPVと器械による咳介助(mechanical insufflation-exsufflation;MI-E)の応用で、気管内挿管の予防と抜管を促し再挿管を回避している。今回、気管内挿管と気管切開からNPPVとMI-Eに移行した2例を報告する。
【症例1】61歳女性。ポストポリオ症候群。風邪から急性呼吸不全増悪、CO2ナルコーシスで挿管人工呼吸。抜管困難と判断されるが気管切開を希望せず、NPPV目的で当院へ転院。搬送時従量式人工呼吸に変更。入院当日、挿管下MI-E施行。翌日抜管しNPPV開始とMI-E継続。3日目排痰困難が軽快し、NPPV下で食事開始。4日目NPPV搭載電動車いすで自走。13日目に自宅近くの病院へ在宅コーディネート目的で転院。 
 

【症例2】54歳男性。設計士。顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー。H19年2月に高CO2血症で他院にて気管内挿管人工呼吸後、気管切開へ移行。夜間のみ人工呼吸器使用。H21年12月NPPV移行目的で当院入院。翌日有窓カニューレに変更しNPPV練習。3日目MI-Eを習得し、気管切開チューブを抜管、NPPV移行。13日目退院し、他院耳鼻科で気管切開孔閉鎖術。

 
 【結果と考察】2007年、アメリカ胸部医師学会(American College of Chest PhysicansACCP)から「麻酔や鎮静におけるデュシェンヌ型筋ジストロフィーの呼吸ケアのコンセンサスステートメント」が示された。これは、他の神経筋疾患にも応用することができ、NPPVとMI-Eにより、気管内挿管や気管切開の回避が可能である。今後、より適切なNPPV条件やMI-Eの使用方法を検討したい。
 
 一般演題(10)「NPPV2」710日 9301030 第7会場
石川先生は日本呼吸療法医学会の在宅人工呼吸療法検討委員長です。
山形の在宅人工呼吸療法検討委員会では、NPPVカード(手帳)のようなものを作ることにしました。既にお持ちの方で、問題ない方は、今までのものをお使いいただいてよろしいのですが、項目をご覧になって、私達が今後提示するものが使い勝手が良ければ、使っていただけるようにと考えています。
 NPPVカードの用紙は、日本呼吸療法学会のホームページからダウンロードできるようにしたいと思います。救急やICUの先生方や看護師さんが多く参加されている会ですので、このNPPVカードが、パスポートのようになって、いろいろな機関がニーズに応じて、連携し易くなればいいと思っています。
 ホームページ(八代さん)のビデオは、抜群でした。説得力、インパクト絶大でした。大阪大学を出て、国立循環器病センターのICU部長から、現在、徳島大学の救急の准教授になっている人工呼吸器では有名な今中先生がいるのですが、わざわざその演題を聞きに来てくれていました。座長の山形大学第1内科の医師が、「再度呼吸不全が増悪したら、どうするのですか?」と、以前、どこかで同じ質問をされたなと思う質問をしてきました。竹内さんは、「医師から答えます」と言ったので、「喉咽頭機能が話せて食べられる程度に保たれていれば、NPPVが続けられます。FSHは、何十年でもNPPVとMACでできます」と答えました。 
 
 



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